難症例に挑む

2016.04.12更新

何故か?…他のクリニックでは手術不可能のレッテルを貼られ藁をも掴む心情で当院に受診される患者様がいます。

決して、自分が特別なわけでは無く…患者様の気持ちに寄り添った結果、今までの経験をフルに活かして、可能で最善な方法を提案するだけ。少しだけ、使命にも似た気持ちが湧き上がりますが、最終的に患者様やご家族様に理解や信頼を得られるか…。一期一会の勝負。

外科医として…患者様が手術を希望されて、私を信頼してくれる。自分が持っているのは、昨日まで積み上げてきた実績とそれに基づく自信のみ。一般的なリスクはもちろんお話しますが、未経験な病態や難症例には…正直恐怖やストレスしか存在しません。

でも、難症例も未経験病態も…じっくり腹を据えて向き合うと、今まで経験してきた病態がそれぞれ複雑に絡みあっているだけだと気づかされます。そんな時は、ゆっくりとした心持ちで、パズルを解く要領で…より確実により正確に全力を尽くすのみ。

そんな決意で臨んだ手術や主役の患者様には、特別な感情移入が出てしまいます。病態が快方に向かい…患者様に感謝や労いの言葉を頂けるのは至福の瞬間です。

ただし…手術である以上、私が思う成功と患者様が感じる術後の感覚にギャップが生じる事は軽視出来ません。

手術のストレスから…他の新たな全身的な疾患を患い苦しんでいる患者様も現実にいます。視力結果や診察結果では異常が無いため、決して理解してあげられない本人にしか分からない苦しみ…。

今までの眼科人生…手術で感謝された患者様の数が圧倒的に多いと実感しています。が、やはり真摯に一人一人の患者様に向き合っていき、眼科的な技術向上はもちろん、眼科以外の領域にも見識を持っていく必要があると肝に銘じ難症例に向き合っていく必要があると実感しています。

今日…ある難症例患者様の手術を執刀しました。私の行った手術で、少しでも患者様の希望を与えられる結果になればと願います。もし結果に満足頂け無くても、心情を受け止められるクリニックでありたいと思います。