先日の23日には、品川での硝子体ビデオセミナーに参加し、そして、まさに今日(27日)京都でのアルコン社主催のプレミアサミットに参加してきた。
一つが、網膜硝子体のセミナー。ビデオセミナーなので毎年のように好きで参加している。以前のブログにも載せた事があるが、いつもクリニックでやっている硝子体手術の技術確認と、最新の知見を学べる私には貴重なセミナーだ。今回、特に感銘を受けたのが自家網膜移植。巨大黄斑円孔に対する新しい治療法として、従来のインバーティッドILM法やフリーフラップILM法でも閉鎖しない巨大でかつ陳旧性のMHがターゲットになるが、向きをしっかり整えてあげると視力の回復も期待できるらしい。
あとは、ビデオセミナーなので…毎回名人達の工夫しているセッティングやその手術のコツや思考なんかを一日中見て聞けるから、同じように気持ちになって体感できる。横浜市大の山根先生の強膜内固定も…文献からは読み解けないコツやノウハウを見つける事ができた。普段やっている手技だからこそ目から鱗の時間だった。少しでも名人に近付きたい。
そして京都では…今や完全に老視治療として注目を浴びている3焦点レンズの国内承認レンズの発売に伴うユーザーミーティングであった。うちも7月から承認3焦点レンズを先進医療で使えるようになるから是が非でも参加したかった。その真の実力や先行して使用した先生の本音を知りたくて…悪路の中京都へ向かった。
未認可3焦点レンズを使用している私の経験による知見と今回の日本初承認3焦点レンズの違いを誰よりも早く自分で知りたかったからだ…。
屈折矯正の世界で尊敬する同窓のビッセン宮島先生が先導し行った治験の結果を傍聴することが出来たのも至福な時間であった。多焦点の患者様で迷った時に、私がバイブルとしている本を執筆された先生で、特に感銘を受けるのがいつも患者様本位の医療を実践されているところだ。
ミーティング中、すでにヨーロッパでは3焦点が市場を席巻しているのは既成の事実だが…近いうちに日本もそうなるだろうと私は感じた。それだけ、実力、患者様満足度の高い真のプレミアムレンズなんだと理解したからだ。
外来をしていて…2焦点と3焦点の違いを聞かれるが、個人的な意見として2焦点と3焦点を自由に選べるのなら迷わず3焦点を選ぶくらい光学技術に雲泥の差があると思っている。だから、今まで自費扱いであったが、3焦点レンズも勧めてきた。それでも金銭的な問題や、ハローグレアが嫌な人、コントラストを気にする人には、片眼を手術してカスタムする方法が良いんだと思う。
もちろん…大前提としてメガネを使わない生活を望まれる方が対象となるから、そもそもの入り口が肝要だ。我々は患者様のニーズを決して取り間違えてはいけない(自戒の念を込めて)
これまで以上に、単焦点レンズの特性を伝える義務があるし、今回の日本初承認3焦点レンズと未認可3焦点レンズの違いも正確に伝える義務もある。少ないが2焦点が眼科的には良い患者様もいる。これまで、レーザー白内障とともに真摯に多焦点IOLを手掛けてきたうちの経験が活きてくるんだと思う。明日からでも、的確なアドバイスができる自信がある。
網膜自家移植に、夢の老視治療。ひと昔前では、考えも及ばなかったし不可能とさえ思われていた技術革新。だが最期は…それを提供する医療人の熱意や伝え方だと思う。しっかり襟を正し、最新の情報を集め自分の経験に照らし合わせて咀嚼して、患者様には引き続き、後悔のない選択をしてもらえるクリニックであり続けたい。
そんな開院当初の思いを強くした2つの勉強会でした。
補足として…自分が受けたい医療かどうか?今回の承認3焦点レンズは、自分自身にも入れて欲しい、大切な人に入れたいレンズだと断言できる。そんなプレミアムなレンズを使用できる幸運に感謝したい。